2019/10/10
形見の老眼鏡。
人にはそれぞれの
価値観
と言う物があります。
それは誰にも文句を言われる筋合いは無く
本人が良ければそれで良しなのです。
今回、私の所に迷い込んで来た
御依頼は・・・
「あの~大変失礼なのですが、
既成の吊るしの老眼鏡を
直してもらえたりするのでしょうか?
店長にお見せするのも恥ずかしい程、
安っぽくて汚いのですが、
私にとって大好きな祖母の形見なのです。
どうにかこのメガネを私が使えるようにしたいのです。
お金は幾らかかっても構いません。
使って上げたいんです・・・」
もうこの時点で私は涙腺崩壊で
一つ返事で引き受けました。
お話を伺うと、
全ての行く先々のメガネ屋さんで断られ、
買い替えを勧められ
それを断るのにいい加減、疲れたそうです(>_<)
物を大切にする心。
本当に大好きです。
使い捨てではなくトコトン使って上げる。
願わくばそれを代々受け継いでいく。
今の時代だからこそ
大切にしたい心です。
いつも私は皆様にお話をさせて頂くのですが
捨てるのは簡単です。
しかし使い続ける事は本当に難しい事です。
物も人も同じではないでしょうか?
切り捨てる事、簡単です。
切り捨てずに大切に愛を育てて行く事。
育む事・・・
どんな時代になろうと、
真心
を大切にしたいです。
人にも、物にも
優しくありたいです。
先ず品物を拝見しました。
↓ ↓ ↓

うん。
確かに・・・

よく昔、駅のホームや
雑貨屋さんで販売されていた
2~3千円くらいで買えた
既成品の老眼鏡です。
+1.00とか+3.00とかの
あのメガネです。
多分このメガネを見た時、
普通なら品物が2~3千円なのですから
それ以上の金額はかけて
直したくない!と思われるのではないでしょうか?
メガネ屋さんも親切心から、
「買った方が安いですよ~」
とか
「コレは直せません」
と先ずアドバイスを施すと思います。
でも、
今回の御依頼主にとっては
二度と逢う事が出来ない祖母の形見なのです。
お金では買えないのです。
良いじゃありませんか!
この老眼鏡に修理代やカスタム代を
1万円かけようが2万円かけようが。
2万円あったら
この老眼鏡が何十本も買えるよ!
なんて言うのは
野暮と言うもの。
そこには何の「心」も無いのです。
きっと、分からない人には
分からない。
分かる人には分かる。
そういう事で良いんですよね。
先ずは分解するところから
始めます。

大量生産の量産品ですので
作りはそれなりです。
レンズも「はめ殺し」と言って、
ネジで開閉して出し入れするのではなく、
力任せにパチっ!と入れるだけの物です。
当然レンズもアクリル系レンズで出来ています。
今回は御自身にあった
度数を御希望なので検査もして
レンズも購入頂きガラスレンズで
作成しました。
「はめ殺し」の為、
ガラスレンズが割れてしまい
中々、枠に入れる事が出来ないので
ある方法で作り直したガラスレンズを
入れ替えました。
さてこれを、
お金をかけて
使えるように、いや、もとい!
長く使えて受け継いで行けるくらいの
レベルにするため、
大改造をします。

お分かりでしょうか?
では、別角度から・・・

完全に作り直しをしました。
耳かけも(モダン)
新しく作り直ししました。

総額ウン万円を頂戴しました。
安いか高いか、
無駄か無駄ではないか、
それは依頼主の
受け取り時の涙で
全てを悟りました。
本当に引き受けて良かったです。
どうか末永く、
可愛がって上げて下さいませ。
<お願い>
日頃、私は店頭には居ませんので
御仕事の御依頼は必ず事前に
メールでお願い致します。
突然の御来店の場合
御仕事はお受けしていませんので
予め御承知置き下さいませ。
(お電話でのお問い合わせも御遠慮願います)
コメント
Re: タイトルなし
光栄です。
有り難うございますm(_ _)m
2019/10/19 23:35 by 日本メガネ店長 URL 編集
2019/10/19 21:27 by URL 編集