2012/11/28
アーレン症候群の患者様から御報告。~発達障害~
今回のブログは予定を変更して
アーレン症候群の患者様である T様より とても参考になる
貴重なメールを頂きましたので 原文のまま 御紹介したいと思います。
経緯としましては先日 私がアーレンレンズ以外の「ガラス レンズ」を御販売しました。
私の経験上 患者様は 中々アーレンレンズだけでは 快適に過ごす事は難しく
その他の方法を用いて メガネ・サングラスを 数本を使い分けるのが宜しいのかと思います。
その一番の理由は アーレンレンズは現段階では「度付き」で作成出来ませんので
度の入ったメガネの上に アーレンレンズを「かぶせる」方法しかないのです。
それに例えば 処方箋により作られたアーレンレンズが「色がかなり濃い物」でしたら
患者様は一日中それを掛けられるか?と言えば 中々そうは出来ない方が多いと思います。
すると当然 それに代わるメガネが必要となるのですが どんなメガネを選べばいいのか
悩む所ですし そんな相談をして一般の眼鏡店では 経験がゼロに近い筈ですので
患者様に何もアドバイスが出来ないと思われます。
そういう方々の参考になればと T様が いつも私に協力をして下さるのです。
本当に感謝です。
・・・・・・・・・・・・・・<以下 原文のまま>・・・・・・・・・・・・・・・・・
店長様
先日は素晴らしい眼鏡を御つくり頂いて有難う御座いました。日々愛用させていただいております。
レンズの感想について以下のように纏めてみたので、メールでご報告させていただきます。
実をいうと今回眼鏡をつくるにあたりかなり不安があり、眼鏡ができるまで戦々恐々としていたのでその点から述べさせていただきます。
不安であったことは、主に以下の三点でした。
先ずレンズの見え方の滲み(高屈折率であったことから)、次にレンズの色味、そして重みでした(ガラス素材である事、玉型の大きさ)。
実際に装用してみると滲みは殆ど気にならず、レンズ周辺部で僅かに確認できるだけでした。むしろ屈折率1.6のプラスティックのレンズよりもクリアであるように思えます。
色味についてもほとんど気にならず、アリアーテのブルー系統の5~10%の間くらいの色に感じます。
重みはやはり重たいです。鼻と耳の付け根に痛みを覚えることがままあります。
〈良かった点〉
なによりも見え方がとてもシャープであることです。プラレンズ独特の赤みや滲み、ざらつき等がなくすっきりとしています。
夜は、レンズの色味により街灯やネオンの光が柔らかくなり、光刺激が減ったように思えます。
また、ガラスレンズ特有のはっきりとした見え方と相俟って、暗い中でも細部まで捉えることが出来る、とてもよい見え方をします。
屋外では、夕方から夜間にかけての見え方の向上が顕著です。
文字の一つ一つがはっきりと、文字が見やすくなることで読書時の疲れが軽減したように思えます。
レンズの色味が強すぎないため、視界が自然であることも良い点の一つでした。
〈悪かった点)
とにかく重い。曇りやすい。プラよりも眩しく感じられる。
昼間の屋外ではフィルター効果はとくに感じなかった。
〈総評〉
ガラスと色の効果が合わさり、とてもよい見え方のする素晴らしいレンズだと感じました。店長様に相談して本当に良かったです。
しかし、重たく使い勝手が良いともいえない面がありプラレンズに慣れたユーザーには勧め難い面があるとも感じました。
しかし、ガラスレンズの良さが人に知られず埋もれてしまうのは勿体ないですね。そう思わせるレンズです。
なんだかまとまりのない文章になってしまい申し訳ありません。
よい眼鏡を御つくり頂いて有難うございました。もしかしたらフィッティングにまた伺うかもしれませんがそのときはよろしくお願いたします。
・・・・・・・・・・・・<原文 終わり>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
健常者には 中々 分かりにくい 伝わりにくい 色の滲みやコントラスト
光に対する反応
どれをとっても アーレンの方々は 本当に大変な思いをなさっておられます。
その救いとなるのが ガラスレンズでもあります。
アーレンの方々にとって プラスチックレンズだと せいぜい 屈折率1.60が
滲みの限界だと思います。
しかしガラスレンズにすれば ギリギリ1.70までは 使えるレベルだと言う事を
私の経験上 感じています。 本来なら1.50を薦めたいのですが 強度数のかただと
そこの駆け引きが難しく 悩みどころでもありますが・・・
この事は レンズメーカーが公表している「アッベ数」とは少々異なり
レンズその物の「資質」による違いが大きく関わって来る事も合わせて
御報告したいと思います。また加工方法によっても大きく変わってきます。
工夫をそこに施す事により 同じレンズでも俄然違いが出るものです。
最後になりますが T 様は 選ばれる枠に対しても 次の様な感想を
述べておられますので これも参考にして頂ければ幸いです。
・・・・・・・・・・・・<以下 原文のまま>・・・・・・・・・・・・・・・
あと玉型の大きさについてですが、店長様が仰られるように、プリズム処方のユーザーは大きめのものが適しているように思われます。
上下は勿論ですが、左右のズレの時も、視界にフレームが入ってくるので、PDよりもFPDが若干大きい方が掛けていて楽に感じられます。
(角膜頂点間距離を狭めれば多少緩和される問題ですが)
・・・・・・・・・・・・・・<原文 終わり>・・・・・・・・・・・・・・・・
この事については また 次の機会に お話をさせて頂こうと思います。
本当に T 様、いつも御協力を有難う御座います!